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賃貸で使える香り|火気厳禁と契約書3箇所

ガイド
賃貸お香火気厳禁原状回復火災報知器

賃貸でお香やキャンドルを禁止する法律はありません。禁止しているのは契約書です。

だから答えは物件ごとに違います。確認する場所は3つだけで、5分で終わります。

障子から光が入る和室

賃貸でお香を焚けるかの3レイヤー:法律・契約・実務リスク

法律、契約、実務リスクは別の層です。混ざったまま検索すると答えが出ません。

禁止しているのは契約書

「火気厳禁」は法律用語ではありません。賃貸借契約の特約です。入っていれば契約違反、入っていなければ契約上は使えます。

確認するのは次の3つです。

契約書で確認する3箇所:特約事項・重要事項説明書・管理規約

賃貸借契約書の特約事項が本命です。「火気厳禁」「裸火の使用を禁ずる」「ストーブ等の火気使用器具の使用禁止」といった書き方をされます。契約書の後半、禁止事項が箇条書きになっている箇所にあります。

重要事項説明書にも同じ内容が書かれていることがあります。契約書と食い違っていたら管理会社に聞いてください。

管理規約・使用細則は分譲賃貸で効いてきます。オーナーとの契約に書いていなくても、マンション全体の規約で禁止されている場合があります。共用部での使用制限もここです。

3つとも見て何も書かれていなければ、契約上は焚けます。ただし次の2つが残ります。

退去時に請求されるのか

匂いや着色が残った場合の負担は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月)が判断の下敷きになります。

原状回復の負担区分:貸主負担と借主負担の線引き

線引きはこうです。経年変化と通常の使用で生じる損耗は貸主負担。借主の故意・過失、通常の使用を超える使い方で生じた損耗は借主負担。同ガイドラインが名指ししているのはタバコです。ヤニによる変色や臭いがひどい場合、借主負担として扱われ、経過年数を考慮しない特約が付いている契約もあります。

お香やアロマは明記されていません。 ガイドラインに項目がないので、タバコと同じ扱いになると断定はできません。ただ、壁紙に着色が出たり匂いが残ったりして「通常の使用を超える」と判断されれば、同じ原則で借主負担になり得ます。

実務的には、毎日同じ場所で焚き続けるのがいちばん危ない。壁際、カーテンの近く、換気の悪いワンルームは避けてください。

火災報知器は鳴るのか

ここは調べた範囲で断定できませんでした。「お香の煙で住宅用火災警報器が作動する」と明記した公的資料は見つかっていません。

分かっているのは設置のルールのほうです。

住宅用火災警報器:煙式と熱式の設置場所

消防法令では、寝室と階段室には煙式(光電式)の設置が義務づけられています。一方で消防庁は、台所など大量の煙や湯気が対流する場所には熱式(定温式)が適するとしています(住宅用火災警報器Q&A)。市町村の条例で台所にも設置義務がある地域があります。読み方はこうです。煙や湯気に反応し得ることを前提に、場所によって種類が分けられている。つまり寝室で煙を出すのはリスクがあると考えるのが妥当です。ここは「たぶん鳴らない」で進めていい話ではありません。

ワンルームだと寝室と居室が同じなので、この点は特に効きます。

確認が終わったら

3つとも問題なければ焚けます。ただ、契約書に何か書いてあった場合や、報知器の位置が近い場合は、火を使わない方法に切り替えるほうが早いです。

電気式ディフューザー、リードディフューザーなどの無火タイプ、ルームスプレーの3つがあります。禁止されているのは火気であって香りではないので、火を使わなければ契約上の問題は生じません。オイルのシミと匂い残りは、火の有無と関係なく残るので注意してください。

火なし派の3タイプ早見

タイプ給電・道具香りの立ち方向いている場面
電気式ディフューザーコンセント/USB/電池常時ほぼ一定帰宅から就寝まで通しで香らせたい
リードディフューザー電源不要(放置)弱く常時玄関・洗面所など小空間の常設
ルームスプレー手動噴霧一瞬強く、すぐ引く来客前・気分の切り替え

キャンドルの見た目や蝋の融ける香りが好きで、それでも火は使いたくないなら電球の熱で蝋を溶かすキャンドルウォーマーという選択肢があります。分譲マンションで管理規約によりお香を禁じられている場合の別ルートはマンションで線香・お香が焚けないときの代替にまとめてあります。

一人暮らしの部屋での具体的な組み立ては一人暮らし1K・ワンルームの香り、電気式の選び方は一人暮らしのアロマディフューザー選びにまとめてあります。

最後にひとつ。この記事は判断の材料であって、契約の解釈そのものではありません。 契約書の文言に迷ったら管理会社に聞くのが確実です。「お香を焚いていいか」と聞けば答えが返ってきます。

火を使わなくても残る3つの不安

火気の話が片付いたあと、賃貸で相談されやすい不安が3つあります。契約書の外側の実務です。

リードディフューザーの液漏れと退去費用

火は使わなくても、オイルはこぼれます。フローリングやカーペットに染みたオイルは油分が抜けにくく、跡が残ることがあります。ここも「通常の使用を超える」と判断されれば、原状回復の考え方に沿って借主負担になり得ます。

対策は素朴で、ボトルの下にトレイとペーパーを敷くだけです。地震や掃除機の接触でボトルが倒れても、床までは届きません。こぼしたら乾く前に無水エタノールで拭き取り、それでも跡が残った場合は早めに管理会社に相談してください。時間が経ってから申告するより、その日のうちに伝えたほうが交渉は成立しやすいです。

キャンドル系の代替でも同じで、蝋やオイルのシミは火の有無と関係なく残ります。火なしで蝋の香りを楽しみたい派には賃貸で使えるフレイムレスウォーマー・LEDキャンドルにまとめた選択肢があります。

隣室への匂いの届き方

換気扇と窓が閉まっていれば、構造上ほぼ届きません。壁の遮音・気密のほうが香りの分子より圧倒的に強いからです。ただし24時間換気口の配置によっては、共用ダクト経由で薄く届く可能性はゼロではありません。物件次第です。

トラブルを避けたければ選ぶ香りで調整できます。バニラ・オリエンタル・スモーキー系など主張の強い甘い香りは避けて、柑橘・木質・グリーン系に寄せると無難です。時間帯も効きます。深夜より夕方の在宅時間に短時間だけ焚くほうが、共用部で滞留しにくいです。

ペットと同居する隣室がある可能性も想定してください。ペット同居の香り選びはペット可賃貸のルームフレグランスに別途まとめてあります。

前の入居者の匂いが残っているとき

自分が焚く前の話です。入居時に前の住人の匂いが残っている場合は、順番があります。

  1. まず24-48時間の全開換気。窓を対角に開けて風を通します
  2. 次にアルカリ電解水で壁・床を拭き上げます。タバコのヤニも油汚れも同時に落ちます
  3. それでも消えない場合はオゾン脱臭を業者に依頼する手があります

ここで大事なのは、香りで上書きしないことです。残臭の上から強い香りを重ねると、しばらくして香料が抜けたときに元の匂いが戻ります。国交省の原状回復ガイドライン (前掲) では通常の清掃で落ちない残臭は貸主負担での原状回復対象に含まれ得るので、退去時のヤニ残臭がひどい場合は管理会社に交渉できます。玄関まわりの匂いこもりは賃貸玄関の匂いこもり対策、玄関の香り作りは賃貸玄関のフレグランス5パターンにそれぞれまとめてあります。

出典

よくある質問

賃貸でお香やキャンドルを焚くのは法律で禁止されていますか?
禁止する法律はありません。禁止しているのは賃貸借契約書の特約です。契約書・重要事項説明書・管理規約の3つを確認してください。
お香の匂いが壁紙に残ったら、退去時に請求されますか?
可能性はあります。国交省の原状回復ガイドラインが名指ししているのはタバコで、お香は明記されていません。ただし通常の使用を超えると判断されれば借主負担になり得ます。
お香の煙で火災報知器は鳴りますか?
断定できる公的資料は見つかりませんでした。ただし寝室と階段室は煙式の設置が義務で、台所には熱式が適するとされています。寝室で煙を出すのはリスクがあると考えるのが妥当です。
火気厳禁の物件でも香りは楽しめますか?
楽しめます。電気式ディフューザー、リードディフューザーなどの無火タイプ、ルームスプレーの3つがあります。禁止されているのは火気であって香りではありません。
アロマキャンドルは賃貸で焚けますか?
物件ごとに違います。禁止する法律はなく、賃貸借契約書の特約・重要事項説明書・管理規約の3つを確認してください。『火気厳禁』の記載があれば契約違反になります。
マンションで火気厳禁の場合、電気キャンドルは使えますか?
使えます。禁止されているのは火気であって香りではないので、火を使わないタイプなら契約上の問題は生じません。ただしオイルのシミや匂い残りは火の有無と関係なく残るので注意してください。
リードディフューザーを賃貸で使って液がこぼれたら退去費用は請求されますか?
通常の使用範囲を超えた汚損は借主負担になり得ます。フローリングやカーペットに染みたオイルは油分が抜けにくく、跡が残ることがあります。こぼれたら乾く前に無水エタノールで拭き取り、跡が残った場合は早めに管理会社に相談してください。実務的にはボトルの下にトレイとペーパーを敷いておけば、多くのケースは回避できます。
香りが隣室に届いて迷惑になることはありますか?
換気扇と窓が閉まっていれば、構造上ほぼ届きません。ただし24時間換気口の配置によっては共用ダクト経由で薄く届く可能性があります。バニラ・オリエンタル系など強い香りは避けて、柑橘・木質系に寄せると無難です。
入居時に前の住人の匂いが残っている場合はどうすればいいですか?
まず24-48時間の全開換気と、アルカリ電解水での壁・床の拭き上げが基本です。それでも消えない場合はオゾン脱臭を業者に依頼する手があります。国交省の原状回復ガイドラインに基づき、通常の清掃で落ちない残臭は貸主負担での原状回復を管理会社に相談できます。香りで上書きするのは最後の手段です。